薬膳鍋・スープ

 スーパーでは手に入りにく漢方食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけでイヤな症状を改善したり体の不調を整えてくれる簡単に使える漢方食材を集めました。漢方薬のように苦いとかマズイとかといった、食材自体に特に味がないので使いやすい食材ばかりです。

乾物なので常備しておき、いろいろなお料理に加えてお使いください。エキスが滲み出て簡単に薬膳効果が得られます。


薬膳四神湯[ししんとう]スープ

夏の暑さや疲れに負けない薬膳スープ

 台湾では、四神湯[ス-シェンタン]と呼ばれる夏の定番スープ。蒸し暑い夏に仕事帰りやお買い物などの帰りに専門の屋台で老若男女が食べています。

台湾では疲れた時や消化不良の時などに食べられますが、「脾」(お腹)の働きを調えて水の巡りを促進します。また熱中症や暑気あたりなどにも効果があり、ダイエット時の栄養補給にもオススメです。

 

 四神湯は、20世紀に台湾で生まれた薬膳料理ですが、もとは「四臣湯」という名前で呼ばれていました。「四臣湯」は、16世紀の清朝で乾隆帝が江南地域を行幸していた時に、そばで使えていた四人の臣下が蒸し暑さと疲労で次々と倒れました。付き従っていた御侍医が芡実、蓮子、淮山、茯苓と豚モツを煮込んだスープを処方して飲ませたところ、四人の病はすぐに治ったそうです。乾隆帝はこの薬を「四臣湯」と名付けたそうで、これがやがて民間に伝わり、慢性疲労や消化不良、暑気あたりなどの薬として使われていたのが始まりと言われます。

「四臣湯」の食材は全て豊富な澱粉を含み、これにタンパク質豊富な豚モツや大豆などを加え栄養バランスを整えてあり、総合すると利湿、健脾胃、固腎補肺、養心安神などの作用があり、消化不良、体力低下、慢性疲労などに高い効果が期待できます。 

 

 四臣湯とよく似た発音でやがて台湾で「四神湯」と呼ばれるようになり、現在では、芡実(ケンジツ)、薏苡仁(ヨクイニン)淮山(ワイサン)、蓮子(レンツ)の4種の食材と豚モツを煮込んだスープがメインとなっていますが、もともとの四臣湯は薏苡仁(ヨクイニン)の代わりに茯苓が使われていたのです。茯苓薏苡仁もどちらも利水滲湿薬で、健脾利湿の効果があり湿度の高い梅雨時期などにおすすめです。

薬膳四神湯スープには、4種の食材に茯苓(ブクリョウ)を加えて清熱利湿、健脾補気の効果を高めて、減肥時の栄養補給におすすめです。 

健脾利湿食材がたっぷり

漢方的効果

薏苡仁(ヨクイニン) 利水滲湿薬 イネ科ハトムギの成熟種子

性味:甘・淡/微寒] 帰経:脾・胃・肺 効能:清利湿熱、去湿除痺、排膿消腫、健脾止瀉

湿熱内蘊による水腫、尿量減少、湿熱痺の関節痛、こわばり、むくみ、しびれ、化膿、水様便や泥状便、白帯下などの改善効果。

 

芡実(ケンジツ) 収渋薬 スイレン科オニバスの成熟種子

性味:甘・渋/平] 帰経:脾・腎 

効能:健脾止瀉、益腎固精・縮尿、去湿止帯

脾虚の慢性泥状便や水様便、腎虚の遺精・尿失禁、湿熱や脾腎虚の帯下(おりもの)などの改善効果。

 

淮山(ワイサン) 補気薬 ヤマノイモ科ナガイモの根茎

性味:甘/平] 帰経:脾・肺・腎 

効能:補脾止瀉、養陰扶脾、養肺益肺・止咳、補腎固精・縮尿・止帯

脾虚による食欲不振、元気がない、泥状や水様便、腹脹、口乾、肺虚の慢性咳嗽、呼吸困難、腎虚の遺精、腎虚の帯下などの改善効果。

 

蓮子(レンツ) 収渋薬 スイレン科蓮の種子

性味:甘・渋/平] 帰経:脾・腎・心 

効能:健脾止瀉、養心安神、益腎固精

脾虚による慢性泥状便、水様便、心身不寧の不眠、動悸、腎虚の遺精、不正性器出血、帯下などの改善効果。

 

 

 茯苓(ブクリョウ) 利水滲湿薬 サルノコシカケ科マツホドの菌核

性味:甘・淡/平] 帰経:心・脾・胃・肺・腎 

効能:利水滲湿、健脾補中、寧心安神

水の巡りが悪く、尿量減少やむくみ、脾虚の食欲不振、元気がない、腹鳴、腹満、水様便、悪心、嘔吐、めまい、不眠、不安感、驚きやすい、動悸などの改善効果。

 

当帰(トウキ) 補益薬 セリ科トウキ

性味:甘・辛・苦/温] 帰経:心・肝・脾 効能:補血調経、活血行気・止痛、潤腸通便

血虚による顔色につやがない、頭のふらつき、めまい、目がかすむ、動悸、月経不順、月経痛、気滞血瘀の疼痛、腹腔内腫瘤、打撲による腫脹、しびれ、腸燥便秘などの改善効果。

薬膳的効果

こんな体質におすすめ:気虚、湿痰、脾虚

薬膳的効果     :健脾利湿、補気補益 

主な作用      :脾の働きを健やかにして水の巡りを調えます。


※これらは各食材の含有成分の働きを紹介するもので、薬機法に基づき弊社が販売する「薬膳四神湯スープの効果効能を示すものではございません。

皇帝に愛されるために美しさを競った宮廷貴婦人たちも愛食した「美容スープ」

 

漢方的美肌を作るために…

湿熱内蘊による水腫、尿量減少、湿熱痺の関節痛、こわばり、むくみ、しびれ、化膿、水様便や泥状便、白帯下などの改善すること。

.外邪を寄せ付けず、外邪から身を守ること

.気血をたっぷり補い、全身にくまなく巡らせること

3.水の巡りが整っていて、しっかり保湿されていること

 お肌にとっての外邪はなんと言っても「紫外線」。紫外線からお肌を守るために、UVケアや日傘などは必須です。また紫外線のほかにも黄砂や花粉、PM2.5、乾燥した空気なども外邪です。美しいお肌を保つためには、気血を補い全身にくまなく巡らせること、内臓の働きを低下させないこと、さらに働きを高めることが大切です。

 気血を作るのは「脾」と呼ばれる消化器系…つまりお腹のことです。お腹の調子を整えることが美肌づくりにとても大切なのです。特に湿度の高い梅雨・夏はお腹の調子を低下させやすい季節です。さらに水の巡りを整えるのも「脾」の働きです。また、皮膚は「肺」の働きともとても関係しています。

肺の働きが弱ると外邪を守る衛気バリアが薄くなったり水の巡りが悪くなり、肌荒れなどが起こります。宮廷貴夫人に負けない美肌をつくるのために、「脾」と「肺」を健やかにして働きを高め、気血を補い、水の巡りを整えましょう。

 

 

 美容のほかにも、体内の潤いを保ちつつ余分な水分を排出する食材が豊富。浮腫んだり水太りになる原因の余った水を、カサカサになった肌や乾燥して出にくくなった便に水分を届けるので、体内の水分バランスが調います。ダイエット中の栄養補給にも最適です。

 

 台湾で夏の定番スープとして夏バテや熱中症の予防などに愛食されている薬膳スープを日本人にも食べやすくアレンジ。本場台湾では豚モツ(豚の大腸)が入っていますが、鶏手羽先や骨付き鶏肉などでもホルモンや免疫機能を補うたんぱく質の補給も出来ます。

■材料(スープ料理)

〇薬膳四神湯スープ

〇酒 100㏄ 水 2リットル

 味付けは最後に塩・コショウで整えるだけ。

〇お好みのお肉 豚モツ、鶏手羽先、スペアリブや豚肉(肩ロースやロース)。肉のかたまりは3㎝角ぐらいの食べやすい大きさに切る。

〇山いも(長いも)の追加もOK。山いも(長いも)は皮をむき、7~10ミリぐらいの輪切りにして入れてください。

 (煮過ぎるとつぶれてなくなりますのでご注意ください。最後にさっと火が通るぐらいでOKです)

■下準備

〇薬膳四神湯スープを袋から出し、水で洗う。ザルにあげて水を切っておく。

〇お肉は汚れを取っておく。油が気になる方は湯通しする。

■作り方

1.お鍋に下準備した材料をすべて入れ。水2リットル、酒100㏄を加えて強火にかける。

2.沸騰した火を弱め40~1時間ぐらい煮る。アクが出てきたらすくって捨てる。

3.スプーンにとって食べてみて、材料が柔らかくなっていたら塩・コショウで味つけ。 

※作った分を一人分ずつ小分けして冷凍保存も可能です。食べる時に温め直してお召し上がりください。

※注意

 食べ物ですが、薬膳はカラダに作用があります。

この「薬膳美肌スープセット」に入っている食材は、平性(カラダを温めも冷やしもしない性質で年中食べても良い食べ物)で、味も自然な甘みや淡味なものばかりです。どなたでもお召し上がりいただけます。

気虚、血虚、血瘀、湿痰、湿熱、陰虚、陽虚の方に特にオススメです。ただし、食べたときの体調の変化に気をつけ、もし気分が悪くなることがあればお控え下さ

 

い。

 

下記の人はお控えください。

 

■妊娠初期の方。極度に食欲不振や嘔吐のある方。病気の人や医師にかかっている方。