常備しておきたい薬膳食材

 スーパーでは手に入りにく漢方食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけでイヤな症状を改善したり体の不調を整えてくれる簡単に使える漢方食材を集めました。漢方薬のように苦いとかマズイとかといった、食材自体に特に味がないので使いやすい食材ばかりです。

乾物なので常備しておき、いろいろなお料理に加えてお使いください。エキスが滲み出て簡単に薬膳効果が得られます。


枸杞の実[くこのみ]

五性:平

五味:甘

帰経:肝、腎、肺

分類:滋陰 

生薬名:枸杞子(くこし)

起源:ナス科(Solanaceae)、のクコ(Lycium chinese Mill.)の成熟果実

こんな体質におすすめ:気虚、血虚、(肝腎)陰虚、(腎)陽虚

中医学的効能    :滋補肝腎、養肝明目、潤肺止咳、強健筋骨、眩暈、耳鳴り、視力低下、咳嗽

適応症       :滋補肝腎・明目 肝腎陰虚の頭のふらつき、めまい、視力減退、風に当たると涙が出る、腰や膝がだるく

                無力、遺精に。枸杞丸、枸菊地黄丸

           潤肺   肺腎陰虚の慢性咳嗽に。麦門冬、五味子、貝母、知母などと配合。

臨床使用の要点:枸杞子は甘平で潤であり、補腎益精・養血明目に働き、肝腎を平保する。肝腎陰虚の頭暈目眩・視力減退・迎風

        流涙・腰膝酸軟・遺清・消渇に適する。

        このほか潤肺にも働き、肺腎陰虚の虚労咳嗽にも用いる。

食品が持つ主な作用 :高血圧、めまい、耳鳴り、視力回復、老化防止、腰や膝のだるさ、精液漏れなど


 枸杞の実は、東アジア原産のナス科の落葉低木の実で、薬膳ではなじみの深い食材です。滋養強壮作用のある食べ物として中華料理にもよく使われきましたし、また肝と腎を補うので昔から漢方薬としてもよく使われてきました。

2000年ほども前に書かれたと言われ、中医学を勉強する上では必須とされる古典の薬学書「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)に「上品薬」(じょうほんやく)として紹介されています。「上品薬」とは、体を養い、副作用がない薬として毎日食するべき薬という意味です。

 日本では、平安時代に文徳天皇が枸杞園を作ってその実を愛用しましたが、その庭園を管理した人は120歳まで健やかに生きたそうです。

また、近年では「ゴジベリー」と呼ばれスーパーフードとしてハリウッド女優やスーパーモデルなどのニューヨークセレブたちの美容にも愛用されているそうです。

 

 

滋陰を補い、肝と腎の働きを補う

 枸杞の実は滋養強壮作用があります。甘酸っぱくて口当たりの良い食べ物で、ドライフルーツとしてそのまま食べられますし、いろいろなお料理やデザートのトッピングやお茶やスムージーなどドリンクとしても召し上がれ、さまざまな活用が出来ます。

気虚や血虚など疲れやすい、元気がないと言った方にオススメです。また潤す作用も持っているので、ストレスやイライラなどで肝にこもった余分な熱を抑えますので肝鬱気滞や陰虚の方も食べると良いでしょう。枸杞の実は基本的にどの体質の方にも合いますり、眼の充血、めまい、不眠、多夢、自律神経失調などの症状が現れます。

食べる目薬 

 枸杞の実は、昔から「食べる目薬」とも言われ、目の保養にとても効果的です。ゼアキサンチンと言われる抗酸化物質が豊富に含まれており、煙や放射線などから細胞が破壊されるのを防ぐ効果があると言われています。

90日間、毎日枸杞の実を摂取した高齢者は、低色素脱失が少なく、ドルーゼンや黄色の鉱物が目につきにくくなるという研究結果もあるほどです。

 

枸杞の実は以下にも効果があるとされています。

  • 血糖値を下げる
  • 糖耐性を改善する
  • インスリン抵抗性を軽減する
  • インスリン産生に役立つ細胞の改善と回復

楊貴妃も愛した美容効果に注目 

 日本の大手化粧品メーカーによると、枸杞の実エキスを4週間飲んだ人と飲んでいない人の肌に紫外線を当て、肌の変化を調べる実験を行ってきました。

実験によると、人工的に紫外線を当てたお肌は色が変わって、定着するとしみになりますが、枸杞の実を摂取してから紫外線を当てた同じ人の肌では、ほとんど色は変わっていないそうです。

しみをできにくくするメカニズムは、まだよく分かっていないそうですが、しかし細胞レベルの実験でおもしろいことが分かりました。

 

紫外線を当てた肌の細胞の写真では、しみの原因となる活性酸素が緑色に光っているのが、枸杞の実のエキスを加えた細胞では紫外線を当てても緑色に光らず活性酸素の発生が抑えられていたそうです。

つまり枸杞の実エキスを加えた細胞は活性酸素の発生が抑えられていたのです。

枸杞の実を長く摂取すると、紫外線に強い体質になってくるので

最終的にはシミになりにくい体質につながっていくと言われています。

実験の結果はこちら。

エキスありのほうが紫外線の痕が薄いのが分かります。

 

出典

NHK「美と若さの新常識 カラダのヒミツ」より

http://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2017/107/272792.html


栄養成分が豊富

 枸杞の実は、LBP(クコ多糖成分)が含まれ脂質の過酸化を抑え、肝臓の酵素を活性化する作用を持ち、マウスの平均寿命を延ばすことが確認されています。

またLBPは細胞の免疫力を高めて、ガン細胞の増殖を抑制する効果も持っています。そのほか目の保養に効果のあるゼアキサンチン、ビタミンB1、B2、C、ベタイン、ルチン、βカロチン、カリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、セレン、アルギニン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、食物繊維など40種類以上の有効成分を含むことが確認されています。

 京都伝統中医学研究所で取り扱っている「寧夏産枸杞の実」は、中国寧夏回族居住区で栽培された枸杞の実です。

日本国内では、品質よりも価格を抑えないと数量が出ないということで大粒な枸杞は敬遠されてきた経緯があります。

京都伝統中医学研究所の「寧夏産枸杞の実」は、サイズが250~280粒(50gあたりの粒数の目安)で日本最大級です。そして粒が大きく果肉が多いので通常の枸子よりも食べごたえがあります。

 

また、輸入時に残留農薬を検査し安全の確認が取れたものを販売しています。

添加物は一切なく原料は枸杞の実だけです。安心してお召し上がり下さい。



[下処理方法]

下処理は必要ありません。そのままお使い下さい。


※注意事項

 湿度を吸うとネベネバになってきますので、乾燥材を入れた容器や袋に入れて密封し、直射日光に当てず、冷蔵庫など冷暗所で保存して下さい。 

 また、熱に弱いビタミンB1、C、ルチンなどの成分を含むので過熱しすぎないようにしましょう。

 1日に6~20gを目安にお召し上がり下さい。どんなに良いものでも偏食、過食は良くありません。

 妊娠初期や出血過多の方は、食べ過ぎないように注意して下さい。

 吐き気や嘔吐などを感じる場合はお控え下さい。


おすすめの食べ方

枸杞の実は、さまざまな料理や飲み物に使えます。

お粥やサラダのトッピング、パスタやピザのトッピング、グラノーラやヨーグルト、アイスクリームなどデザートのトッピング、枸杞酒や枸杞茶、スムージーなどのドリンクやジュース、枸杞しょうゆや枸杞マヨなどドレッシング作りに漬け込んだり本当にさまざまな使い方が可能です。もちろんそのままパクパクつまむのもOK。いろいろな使い方でお楽しみください。

ちょっとお腹の調子が悪い時に枸杞粥

お腹を立て直そ。

 

 

黒きくらげと小松菜や松の実と金針菜の温かいサラダ

焼きそばや野菜炒めの具にも使えます。

紹興酒に浸けて枸杞酒

ホワイトリカーやワインなどいろんなお酒に浸けて薬膳酒。

一年中、毎日飲みたいなつめ薬膳茶。なつめ、枸杞の実、竜眼をブレンド

 

こちらも手っ取り早く、冬の定番、あらゆるお鍋の具材として。

エキスが出るので子供にも効果的。おねしょなどに

 



枸杞の実を配合した薬膳茶&薬膳食材、薬膳スィーツ