常備しておきたい薬膳食材

 スーパーでは手に入りにく漢方食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけでイヤな症状を改善したり体の不調を整えてくれる簡単に使える漢方食材を集めました。漢方薬のように苦いとかマズイとかといった、食材自体に特に味がないので使いやすい食材ばかりです。

乾物なので常備しておき、いろいろなお料理に加えてお使いください。エキスが滲み出て簡単に薬膳効果が得られます。


桑の実[くわのみ]マルベリーMulberry

肝腎を補い眼の疲れを癒してくれる

五性:

五味:甘

帰経:心・肝・腎

分類:補益、養血

生薬名:桑椹(そうじん)

基原:クワ科MoraceaeのカラグワMorus alba Lの成熟した集合果。

管理こんな体質におすすめ:血虚、陰虚、養熱、湿熱(血熱)

中医学的効能    :滋陰補血、生発烏髪、生津、潤腸通便

食品が持つ主な作用 :めまい、眼精疲労、目のかすみ、手足のふるえ、不眠、耳鳴り、白髪、物忘れ、唾液の分泌、便通など

出典:桑の葉や根皮は「神農本草経」に記載されていますが、そこに実は収戴されておらず、唐の時代の「新修本草」に初めて効能が記載されています。


 桑の実とは、クワ科の落葉高木クワの成熟した果実です。
 桑の木は、初夏になると甘酸っぱい赤黒い実がいっぱい実ります。欧米ではマリベリーと呼ばれ、ゼリーやジャム、肉料理のソースなどに使われたり、ブドウ酒のように発酵させた桑実酒がつくられるそうです。日本でも生の桑の実を焼酎につけた「桑の実酒」が有名です。
 中国などでは桑の実だけをほとんど水を使わず煮詰めペースト状にした「桑椹膏」をつくり、アンチエイジングの妙薬として人気があります。
乾燥した桑の実は「桑椹子」とよばれます。甘みは少なく酸味があり、食感はスナック菓子のようにカリカリしています。主に薬膳茶や漢方薬として使用されます。

 桑
の根皮は桑白皮(そうはくひ)、葉は桑葉(そうよう)、枝は桑枝(そうし)、果実は(たん)または桑椹(そうじん)、もしくは桑椹子(そうしんし)や桑子と呼ばれています。補益養血薬]として肝血虚心血虚を改善する漢方薬として用いられます。
 桑椹は寒性で肝に働き、ストレス過多によるイライラや常に怒っている感情から生まれる余分な熱(肝気鬱熱)を収めます。更年期やほてり・のぼせを感じる人、便秘気味、目の充血などにも。

1.滋陰補血・生発烏髪
陰血を滋養し黒々とした髪を保ちます。
また、陰血不足によるめまい、不眠、目がかすむ、耳鳴り、早期白髪などに効果的。
2.生津
唾液の分泌を促進し口渇や消渇(糖尿病による口乾き)。
3.潤腸通便
腸を潤し便通を良くする。
 

 桑の実は、ルチン・カロチン・ビタミンA・B1・B2・Cやマンガン・亜鉛・カリウム・カルシウム・鉄などのミネラル、アントシアニン・カルデノリド・サイアニン・タンニンなどの有効成分が含まれています。

 マンガンは、微量成分で神経と骨の発育に重要な成分で、不足すると成長発育障害をきたし、生殖機能も低下し脂肪代謝障害の恐れもあるとされています。

また、桑の実(桑椹)にはマンガンの含有率が高く、子どもの知力発育の促進作用にも効果があるとされています。

 

 一般的な食べ物としては、桑の実ジャム、桑の実粥、桑の実酒など。

 

 桑の実は、抗酸化物質のポリフェノールの一種のアントシアニンが大変豊富に含まれ、眼精疲労や視力低下、白内障など目のトラブルの改善に効果的と言われます。

「食べる目薬」と言われる枸杞の実と一緒に摂るとさらに効果的です。


 紀元前205年、漢の劉邦は項羽に敗れて山に逃げましたが、その際に恐怖で持病の頭痛・めまいなどの発作が起こり、さらに腰痛・便秘にもなりました。山には食料が無く泉の水と桑の木しかないため、毎日桑の実を食べていると数日後にめまいや頭痛・便秘が収まり体調が良くなりました。漢の黄帝になったのち侍医に桑の実とハチミツでジャムを作らせ服用したそうです。「肝陽上亢」の体質になっていたものを、寒性の桑の実で肝熱が収まり頭痛やめまいが解消されたのでしょう。                                                             「東方薬草新書より」


[下処理方法]

特に下処理は必要ありません。そのままお召し上がりいただけます。 


※注意事項

 1日使用量の目安 9~15g。そのまま食べるか、お湯で煎じて服用。

 寒性なので脾胃虚寒で下痢のひとは避けましょう。特に魚介類など冷える物と一緒に食べるのは、消化に良くないので避けましょう。

 便秘気味の時は多めに食べると便通効果がありますが、下痢の時は余計にひどくなるので、自分の体調に応じて食べる量などを調整してください。


おすすめの食べ方

おやつ感覚でそのまま!
1日に9~15gを目安にそのまま召し上がりいただけます。ヨーグルトなどのトッピングにしたりおやつとしてそのままポリポリ♪
薬膳茶に!
枸杞の実などと一緒にブレンドして薬膳茶として飲むとより効果的!

ドライフルーツとしてそのまま

ジャムにして

桑の実にクコの実などを加えて薬膳茶


桑の実を配合した薬膳茶&薬膳食材、薬膳スィーツ

桑の実

全部食べる薬膳茶

桑の実茶