常備しておきたい薬膳食材

 スーパーでは手に入りにく漢方食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけでイヤな症状を改善したり体の不調を整えてくれる簡単に使える漢方食材を集めました。漢方薬のように苦いとかマズイとかといった、食材自体に特に味がないので使いやすい食材ばかりです。

乾物なので常備しておき、いろいろなお料理に加えてお使いください。エキスが滲み出て簡単に薬膳効果が得られます。


金針菜[きんしんさい]

五性:涼

五味:甘

帰経:肝、腎

分類:利水滲湿

 

こんな体質におすすめ:気滞、血虚、血瘀、湿痰

中医学的効能    :清熱利湿、涼血解毒、通乳

食品が持つ主な作用 :入眠作用、自律神経調整作用、抗ストレス作用、抗痴呆作用、造血作用など


 本萱草(ほんかんぞう)という花のつぼみが金針菜です。

ユリ科の植物でキスゲやニッコウキスゲの仲間で、日本でもつくだ煮などで昔から食べられてきた地域があります。

中華料理などには生の金針菜が使われることもありますが、日本ではほとんど乾燥した金針菜が流通しています。

「忘憂草」(ぼうゆうそう)という別名があり、気の流れを改善し、気持ちの落ち込みや憂鬱感を解消し、精神を安定させる働きがあります。

 

貧血女子にはうれしい、ほうれん草の20倍の鉄分

 金針菜は、ほうれん草の20倍の鉄分が含まれていると言われています。

日本では、特に鉄欠乏性の貧血女子が多く、疲れやすい、動悸、耳鳴り、めまい、呼吸困難感、顔色が悪い、食欲が落ちる等貧血症状に悩まされています。

 「新疆なつめ」の紹介ページでも書きましたが、女性は毎月の生理による出血で血とともに鉄分も排出され、また出産や授乳で血を失いやすい生理体質であったり、偏食や少食、ムリなダイエットを繰り返したり夜型生活などによって血を消耗する生活習慣が多いのが特徴です。

 また鉄欠乏性貧血は、子宮筋腫などによる不正出血によることも多く更年期の女性などによく見られます。そういう方は出来るだけ早く診察・治療が必要です。金針菜を食べてなんとか…なんてことは有りませんから、思い当たる方は早く病院に行くことを強くオススメします。

     

美と健康と穏やかな心でいるために「血」が大切

 血は生命活動を営むために欠かせないエネルギーですが、中医学でも「気血」と言って生きるためにとても大切なエネルギーだと考えています。

「血」がカラダの中でどんな働きをしているかと言うと、

1.全身を営養する

 現代医学では、血が全身の細胞に栄養を送り届け、細胞が新陳代謝していると考えていますが、それと同じようなイメージで、「血」によって内臓も目や耳や鼻などの諸器官も手や足も、骨も関節も筋肉も…四肢百骸(ししひゃくがい=全身のこと)を滋潤し滋養していると考えています。たとえば、「血」によって眼が滋養されて物をよく見ることができ、足が滋養されて正常に歩くことができ、掌が滋養されて物をしっかりと握れ、指が滋養されてしっかりと摘まむことができ、筋骨はたくましくなり、関節はスムーズに動き、胃は消化吸収でき、肺は呼吸できるように…全身が正常に滑らかに働くようになりますが、「血」が不足してくると目は渇き、視力が低下し、関節は滑らかに動かなくなり、手足は痺れ、皮膚や髪は乾燥したりするようになります。

 

 また女性にとって関心の深い「美容」についても、「血」が深くかかわっています。

シミ・しわ・くすみ、肌荒れ、クマ・肝斑などはほとんど血の不足か血流の悪さが原因です。いくら外側から高級な化粧品を塗ったり高価なエステに通っても、体の内側にある「血」を増やし流れを整えないと美しい肌は取り戻せません。お肌のトラブルはほとんどが「血」の不足や流れの悪さからくることがほとんどなのです。

 

2.神を養う 

 もう一つの考え方に、中医学では「血」が精神意識活動の基本物質だという考え方があります。これは現代医学と少し違う考え方ですね。

血が充足していれば意識は明晰で知覚は敏感、精神活動は充実し健全だあると考えます。逆に「血」が不足してくると精神・神志が不安定になり不安、怒り、悲しいなど情緒不安定や感情の起伏が激しくなり、さらに心血虚や肝血虚という状態になってくると動悸、息切れ、不眠、夢をよく見る、血圧異常、自律神経失調などの病変が現れるようになります。

 

 このように、「血」によって全身に栄養が供給されることによって、内臓をはじめ各器官は滋潤され滋養されて正常にスムーズに働き動くようになり、艶やかでしっとりとした弾力とハリのあるみずみずしい素肌や黒髪を保つことができ、さらには穏やかで安らかな安定した落ち着いた精神状態を保つことが出来るのです。

 

金針菜は栄養が豊富

 鉄以外の栄養としては、たんぱく質、脂肪、アスパラギン酸、カルシウム、リン、βカロテン、ビタミンA・B群・Cなどが含まれています。

 

中医学的な効能
・体内にこもった熱を冷ます
・水分の代謝を良くする
・胸苦しい感じを解消し、精神を安定させる
・炎症や化膿が原因による血中の熱を冷まし、消炎解毒する

他にもこんな効能が期待できる!
・貧血予防
・造血作用
・不眠の改善
・夏バテの解消
・疲れやだるさ、ストレスを鎮めるなど

 中国製の金針菜は、虫が来ないようにするために硫黄で燻煙処理してあるので茶色っぽい色をしており、少しかび臭い臭い(味)を感じる場合があります。

 

「台湾産金針菜」は、燻煙処理されていないので色も鮮やかで、臭いや味もありません。

 



[下処理方法]

水またはぬるま湯に10~15分間ぐらい浸して戻します。

軸のところが硬いので、気になる方は指でちぎって下さい。

金針菜30グラム入を水に戻した分量。

他の食材などと一緒に使うので、1人1回分で約5グラムぐらいを目安に。

ボウルなどに金針菜を適量入れ、ひたひたになるまで水またはぬるま湯を入れ約15分程浸けて戻します。

軸のところが硬いので、気になる人は指でちぎって下さい。気にならない人は、そのまま食べても大丈夫です。

もどし汁にもエキスが出ていますので、そのままお使い下さい。



※注意事項

 特に注意することはありません。 

 金針菜の生は毒があるので必ず加熱調理が必要です(乾燥の金針菜は毒はありませんのでそのまま水で戻して使えます)。

 五性が涼なので、陽虚(冷え証)や気虚(脾虚)の人は食べ過ぎに気をつけましょう。


おすすめの食べ方

金針菜と黒きくらげの炒め煮

ゴボウやニンジン、レンコンなどと一緒にきんぴらにしたり胡麻和えなどにも。

 

小松菜や松の実と金針菜の温かいサラダ

焼きそばや野菜炒めの具にも使えます。

金針菜のお味噌汁

一番簡単手っ取り早い、お味噌汁の具に。

酸辣湯(サンラータン)

金針菜と黒きくらげ、豚肉、豆腐、卵と一緒に酸辣湯。そのほかいろいろなスープの具にもOK。

 

プーレポワレ あ ら 薬膳

鶏ささみと金針菜や黒きくらげ、白きくらげなどの蒸し煮。フレンチっぽく。

作り方はこちら

 

 


薬膳お鍋

こちらも手っ取り早く、冬の定番、あらゆるお鍋の具材として。

エキスが出るので子供にも効果的。

 

激辛麻婆豆腐

麻婆豆腐に刻んだ金針菜と白きくらげを混ぜて、薬膳麻婆に!ご飯がススム!



金針菜を配合した薬膳茶&薬膳スィーツ