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体質診断チェック

体質チェック 中医学的体質=「証(しょう)」とは


【今の体質=「証」を知ることから】

中医学では、ある人のその時のカラダの状態を、その時の「体質」と捉えます。

 

●体質とは

体質というと「生まれつき」とか「親からの遺伝」のようなイメージですが、実はそれだけではありません。

 

「最近雨が多くてなんとなくだるい」

「ひと月ほど前から仕事が忙しくてイライラする」

「今朝から生理痛がきつい」

 

これらも、その時の「体質」と考えます。

生まれつきのような長期のものもあれば、「昔はなかったのに、この何年間かそういう症状を感じるようになったな」・・と言った中期的な症状や、「3日前ぐらいから・・」や「今朝から・・」といった超短期的なものまですべてを含めて今の「体質」と考えます。この「今のあなたの体質」のことを中医学では「証(しょう)」と言います。

 

●中医学の良い点は病気になる前に治療することが出来ること

体質=「証」は、実際の漢方医では問診をしたり舌を見たり脈を触ったりして、カラダの状態を様々な角度から観察して「証」を立てます。

 

たとえばこんな経験はありませんか?

●「ちょっと頭痛がする」

●「今日は腰痛がきつい」

●「最近便秘気味だ」

と、自覚症状が実際にあるのに病院で血液や便や尿の検査をしたり、レントゲンやMRIなど検査をしても何処も異常がない。

あるいは数値は少し高いけど病気ほどのレベルではないと診断されたとすると病気ではない=健康だとして何も治療を受けることが出来ません。

 

「しばらく様子を見ましょう」となります。

 

そんな場合でも中医学では「証」が立てられ、今の体質の偏りや傾向がわかり、ただちに食事療法や養生法などを用いて体質改善=治療を行います。

 

「なんだか自覚症状は有るけど・・病院ではしばらく様子を見ましょう」と言われる状態を中医学では『未病』と言います。病気の芽はあるけど、まだ大きく育っていない段階で黄色信号の状態です。食事療法や養生法で、未病というと言う黄色信号から赤信号に代わる前に、もう一度青信号(健康)に戻そうとすることが出来ます。中医学の良い点は「治未病」と言って病気になる前に治療することが出来ることです。

 

●体質=「証」を正確に把握してカラダを健康な状態に戻しましょう

中医学では、季節や気候、住んでいる土地の風土や環境、家族の人数や構成、仕事や生活習慣でのカラダとココロの使い方、食べ物の傾向性などその人を取り巻くさまざまなものによってココロも含めたカラダは日々常に変化していると考えます。

 

それが体質=「証」の自覚症状が現れると「未病」という状態になり、その方向にどんどん進んでゆくとやがて病気になって死に向かって進んでゆきます。

 

ですから、体質=「証」を正確に把握してカラダの陰陽が調和した健康な状態に戻してあげないとダメなのです。

 

中医学の心髄


中医学ではこの体質=「証」を立てることを『弁証』と言います。

 

●弁証とは

中医学の陰陽五行という理論を中心に中医診断学に従って、今の体質=「証」を正確に立てることが大切です。

 

その「証」に対して

・中葯(漢方薬)

・鍼灸

・推拿

・薬膳

などを使用し基礎理論に従い、陰陽の調和がとれた健康な状態へ戻します。

 

この治療を『論治』といい、

診察から治療までの一連のプロセスを『弁証論治』と言います。

 

『弁証論治』を正確に行うことが体質=「証」を改善し未病を癒して本格的な病気にならないようにしていくことが出来るのです。

この『弁証論治』こそが中医学の心髄ともいえます。

 

究極的に言えば弁証論治のプロセスがあるものを中医学と言い、弁証論治を行わず診察や治療を行うものは本当の中医学とは言えないのです。

 

とは言っても、正確に「証」を立てるのは相当の勉強と経験が必要です。簡単に体質=「証」を立てられるものではなく、逆に「証」を間違うと治療法も異なるので治療どころか悪化させてしまうことになりかねません。

 

漢方医はさまざまな角度からカラダを診察して正確なそしてより細かな「証」を立てていきますが、そこまで詳しく細かく「証」を立てていくのは難しいです。

 

せめて大きな分類でカラダの状態=「証」を把握し、それに合わせた食事法や養生法を取り入れることで、私たちでも未病を癒し病気を予防していくことができます。

 

●献立や食材を考え立派な薬膳料理家に

家庭の主婦や家族の食事を担っている人にはぜひ大きな分類でもよいので「証」を立てられるようになっていただき、その「証」に合わせて献立や食材を考えていくことで立派な薬膳料理家になっていただきたいと思います。

 

【まずは大きな分類で良いので体質=「証」を立ててみよう。】

中医学的に体の状態 = 今の体質 = 「証」立てる

 

まず『寒熱』・『虚実』を分別します。

【1】まずは、寒(冷え)か? 熱か? 症状を分別


(1)今ある症状は、どちらかを挙げます。

●寒(冷え)が原因なのか?

●熱が原因なのか?

 

実際には 寒(冷え)と 熱 が同居している場合も多いのですが、そんな場合でも一番ツライ(嫌な)症状の原因は何かを分別します。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▶ツライ症状の例 

●寒(冷え)

・氷やアイスクリームなど冷たい物を食べ過ぎて冷えた

・寒い外にずっと居た

・カラダがゾクゾクする

・温かい飲み物が欲しい

・温かいお風呂に出来るだけ長く浸かっていたい

・温めると痛みやしんどい、ツライのがちょっとマシになる

 

●熱

・暑い炎天下で作業(畑やガーデニング)やスポーツをしていたから?

・カラダが 「なんとなく熱っぽい」・「ほてる」・「のぼせる」

・便秘気味だな

・冷たい飲み物やフルーツなどが欲しい

・冷たい物を口にしたり冷やすと痛みやしんどい、ツライのがちょっとマシになる

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このような感覚で寒(冷え)が原因か熱が原因かを分別します。

 

陰陽で言うと、「陰」が寒(冷え)で、「陽」が熱です。

カラダのバランスで陰が勝っている状態か?陽が勝っている状態か?をまず判別します。

 

(2)次に、原因に適した食材を選びます。

●寒(冷え)が原因

出来るだけカラダを温める働きのある食材を選んで温かい調理法でカラダの芯から温めてあげればしんどいツライ症状は改善します。たとえばショウガ、玉ねぎ、にら、にんにく、ウナギやエビ、羊肉などなど。

 

●逆に熱が原因

熱を冷ます働きのある食材や調理法を選びます。「清熱」といって体の中の余分な熱を冷ますことで症状を改善することが出来ます。たとえばきゅうり、ごぼう、セロリ、大根、冬瓜、苦瓜、なす、スイカ、柿、バナナなどのフルーツ、魚貝類や緑茶、コーヒーなどなど。

 

「証」を立てずに、そして食材の持っている性質や調理法を知らずに献立を考えて料理を作ってもそれがたとえ美味しい料理であっても体質=「証」を改善することが出来ません。

 

質素な料理であっても体質=「証」がちゃんと分かり、それを立て直す食材や調理法で作った料理はきっちりと体質を改善し、未病を癒し病気を予防することが出来ます。

 

今の自分の体質にはどの食材が必要かを知って料理を作るのと知らずにつくるのでは大きくからだに影響します。自分や家族の体調をお母さんの手料理で改善していくことが出来るのです。

 

難しい範囲ではなくまずは大きな分類で体質=「証」を立ててみましょう。

【2】次に 虚(不足)か? 実か? 分別


次の分別は「虚・実」です。

 

正気が「虚」、邪気が「実」、という意味です。

私たちのカラダには「気・血・津液(しんえき=水のことを指します)」という生命活動を営む「生きるために必要なエネルギー」がカラダの中にいっぱいあります。

 

それが滞ることなく循環していると考えています。

 

簡単に言うとこのエネルギーを「正気」と言い、このエネルギーの循環を悪くするものまたは悪くなったものを「邪気」と言います。健康な状態で生きていくためには「正気」がいっぱいあって、「邪気」がなく健やかに循環している状態が大切なのです。

 

「気・血・津液(水)」のいずれかが不足している状態を「虚証」といい、

「気・血・津液(水)」のいずれかの流れが悪くなり、カラダのどこかで渋滞が発生している状態を「実証」と言います。

 

【体質を8つに分別】

「気・血・津液(水)」の不足や渋滞による体質=「証」を下の8つのパターンに大きく分別します。

 

証の名前が少しややこしいですが、一般的に書物にはこのように記載されているため、理解し覚えるようにして下さい。

 

 

①8つの体質=「証」に分類

②今の自分のカラダはどの状態に属しているかを確認。

③そちらの方向にどんどん進んでいかないように、傾きを立て直す食べ物や養生法を取り入れていきます。

 

●今のカラダの状態が、すでにこの中のどれかの体質の病気の状態にある場合

漢方薬や鍼灸・推拿を使って立て直していきます。

 

●まだ病気と呼べるほど症状がない場合 

食事療法や生活習慣などを見直す養生法を取り入れ、未病の状態から病気の方に進んで行かないように改善していきます。

【3】体質診断をやってみましょう


それぞれの体質は、今のカラダの状態ですが単独で存在していることはほとんどなく、いくつかの体質が複合している場合が多いです。

 

たとえば気滞と瘀血や血虚と瘀血、あるいは気虚と水滞や陰虚と湿熱などで、症状がある場合は複合しているケースが多くなります。

 

さあ、実際に質問に答える形で「かんたん体質診断チャート」をやってみましょう。

一番の多くチェックのついたところが、今のあなたの体質=「証」です。

8つあるうちのチェックの多い順にワースト3ぐらいが、今のあなたの体質=「証」だと考えられます。 その体質=「証」が、今のあなたがしんどく、痛く、つらく感じている症状の原因なのだと考えられます。

それぞれの傾きを同時に直すようにしてゆけば、少しずつ傾きが改善されしんどく、痛く、つらい症状が改善していくということになるのです。

体質ごとの特徴や養生法


 各体質=「証」の特徴や他の体質=「証」との関係、かかりやすい病気、養生法などを記します。

①.気虚(ききょ)

むくみ体質

 

【特徴】

胃腸が弱くて疲れやすいタイプ。

 

「気」が不足気味なのでパワーの補充が必要ですが、その前に脾(胃腸)のメンテナンスが大切です。

 

『後天の気』というエネルギーを補充する脾(胃腸)のパワーが弱っています。    

 

●肥満気味でむくみやすい

●疲れやすい

●やる気がでない

●湿度が高いとしんどい

●軟便

●おりものが多い

●甘いものや油っこいものが好き

 

【他の体質=「証」との関係】

②陽虚タイプの特徴もある。

③血虚、⑦血瘀、⑧湿痰にもなりやすい。

 

【かかりやすい病気】

・胃腸が弱く食欲不振。

・慢性胃腸炎、

・下痢・便秘

・胃下垂

・脱肛

・腎臓下垂

・子宮下垂

・子宮脱など内臓下垂

・立ちくらみや低血圧

・パワーの不足

・倦怠感や手足がだるい

・免疫力低下

・内出血

・風邪を引きやすい

・慢性気管支炎、気管支喘息

・アトピー

・多汗症

・紫斑病

・ネフローゼ など

 

【養生法】

①必要以上に食べないこと。(過食、少食、偏食に注意)

 

元気が無いからといって無理に食べるのは、かえって脾(胃腸)の負担を増やし働きを低下させてしまいます。

肉、魚、乳製品などの高カロリー食は消化にエネルギーを使い、気虚に拍車をかけるので要注意です。

食欲がない時は、お粥やスープなど温かく柔らかく調理した物を摂りましょう。

 

②胃腸を冷やさないこと。

 

薄着や冷房で外側から冷やすのにも注意が必要です。

冬は腹巻やお腹にカイロは必需品です。

しっかりと睡眠をとってたっぷり休み、胃腸の働きを強めましょう。

 

③冷たい飲み物や食べ物、生もの(魚、野菜、果物)を避けること

 

冷たいものや水分を取りすぎると、脾(胃腸)の熱を奪い働きを低下させます。

冷たい飲食物や刺身などの生もの、トマト、きゅうりなどの生野菜、果物も摂り過ぎに要注意です。

②.陽虚(ようきょ)

冷え体質

 

【特徴】

生まれつきパワーの少ないタイプ。

熱を作れないので寒がり、冷え症。

『先天の気』を蓄える『腎』が弱く、

成長、発育、生殖などにトラブルが起こりやすい。

 

●色白

●軟便

●尿量多い(夜間尿)

●生理周期が遅れる傾向で生理痛も多い

●冷えると足がだるくなり、むくみ、関節が痛くなる

●温かいものを好む

【他の体質=「証」との関係】

①気虚も②タイプと同じ「気」が不足している。

⑧湿痰にもなりやすい。

 

【かかりやすい病気】

・無月経、希発月経などの生理異常

・無精子症、インポテンツ、早漏など生殖器異常、不妊症。

 前立腺肥大

・慢性腎炎、頻尿、夜尿症、失禁

・下痢・便秘、

・難聴、耳鳴り、めまい

・視力障害、白内障

・脱毛

・冷え症、むくみ、

・甲状腺機能低下

・花粉症、鼻炎、

・各部ヘルニア、股関節脱臼、腰痛、骨粗鬆、関節リウマチ

・アルツハイマーや認知症などの中枢神経障害や遺伝

・免疫系のトラブルも起こりやすい

 

【養生法】

過労や体を冷やすことが原因。

 

先天性や誕生時の異常が原因の場合もあります。

両親からもらった生命エネルギー(先天の気)が少ないので、

無駄遣いは避け、蓄え(後天の気)を増やすことが大切です。

 

「熱」を失わないようにし、『腎』の負担を減らし、

『脾』を守り強くすること。内外から冷えを防ぎ、「熱」を守る事が大切です。

 

薄着をせず、衣服でカラダの中の「熱」を守りましょう。

そして冷たいものの飲みすぎ食べすぎは、

「熱」を奪うのでビールや牛乳や生もの(魚・野菜・果物)の摂りすぎは要注意です。

 

手で触って冷たく感じるものや、

体を冷やす涼・寒性のものは口にしないようにしましょう。

 

このタイプも腹巻やお腹と腰にもカイロが必要です。

そして睡眠時間をきっちり確保することが大切です。

 

肉体疲労や精神の酷使は『腎』を消耗させます。

使わないというより、使った後に充分休養して回復させ、疲れを翌日に持ち越さないことです。

セックス過多や病気や手術後も注意が必要です。

 

じんわり汗をかくぐらいの運動をしましょう。

動かすと体内で「熱」が発生し循環します。

また食物を分解するときにも「熱」を発生するので、食べることも大切ですが、無理に食べると脾(胃腸)を傷めるので少しお腹を空かせる事がポイントです。

太腿や腹筋など大きな筋力をアップして基礎代謝や体温を高めましょう。


③.血虚(けつきょ)

疲労貧血体質

 

【特徴】

痩せ気味。

 

顔色は青白く土気色。透き通ったような肌ですが皮膚が乾燥し、肌荒れしやすく、髪にもツヤがなく枝毛になりやすい。

 

●大便はコロコロ

●生理周期は大幅に遅れ、量は少ない傾向

●貧血、めまい、目がかすむ、疲れやすい

●動悸や手足のシビレ

●まぶたの痙攣や足がつりやすい。

 

【他の体質=「証」との関係】

「血」の不足は、「気虚」や「陽虚」が原因の場合もあり、

①気虚②陽虚の特徴もある。

 

「血」の流れが悪い⑦血瘀の人も、部分的に「血虚」になっている。

⑤気滞の人は、「血虚」にもなりやすい。

 

【かかりやすい病気】

・貧血や生理に関する異常(無月経、希発月経、月経過少、生理不順、更年期)

・痺れ、麻痺、神経炎、筋肉痛

・便秘

・色盲、夜盲症、近視、遠視、乱視、眼精疲労

・脱毛

・皮膚乾燥、アトピー

・循環器障害、不整脈、脳貧血性めまい

・低血圧

・不眠、健忘症、認知症、脳性マヒ、アルツハイマー

・精神不安(情緒不安定)

・爪の異常

【養生法】

子宮筋腫などで出血量が多い場合は、それを治療するのが先決です。

また、①.気虚や②.陽虚で「血」が作れない事も多いので、「脾虚」や「腎陽虚」の解決も!

 

積極的に「血」を増やすことが大切! 

「血」をつくる食材を積極的に摂りましょう

・なつめ

・金針菜

・ニンジン

・小松菜

・ほうれん草

・ひじき

・牛、豚。鶏のレバー

・栗・胡桃・黒ゴマ・黒きくらげ・松の実など

 

※但し摂り過ぎは胃腸に負担をかけるので要注意です。

※特に生理中は「血」を補うなつめ・金針菜などを使った食事でしっかり補血を!

 

正しい睡眠が「血」を増やします。

夜更かしは禁物で12時までには寝ること。

血は陰なので「陰」の作用が強い夜間に充分睡眠をとることで補われます。

生理中などは特に夜更かしは厳禁です。

 

少ない「血」の回転数を上げること。

巡りがよければ、充足状態をつくれます。

巡りをよくするためには、「血」は「気」とともに動くので、

⑦血瘀や⑤気滞の養生術などを参考にしましょう!

④.陰虚(いんきょ)

ほてり体質

 

【特徴】

ニキビや肌荒れが気になる。夜型生活の人に多い。しんどいときは夜更かしは避け出来るだけ早く寝るようにしましょう。

 

●のぼせ、暑がり、手足が火照る

●痩せ気味、

●赤ら顔

●便秘気味、小便量少ない

●生理周期は早い傾向

●寝汗をかく、喉が渇く

●夏がつらく暑さに弱い

●糖尿や高血圧に注意

 

【他の体質=「証」との関係】

③血虚とも似ていますが、乾燥が特徴。

②陽虚とはともに『腎』の働きが低下するので共通点も。

また、⑤気滞と同時に見られたり、⑥血熱/湿熱)や⑦血瘀とも

互いに影響しあう。

 

【かかりやすい病気】

・不眠、健忘、自律神経失調症

・のぼせ、ほてり

・めまい、耳鳴り、難聴

・白内障、ドライアイ、老眼、眼精疲労、飛蚊症

・喉頭炎、慢性気管支炎、間質性肺炎、胃・十二指腸潰瘍、大腸炎、 

 便秘

・アトピー、皮膚乾燥

・脱毛、生理不順、過少月経、

・バセドー病、高血圧

・不整脈

・更年期

・腰痛

・骨粗鬆症

 

【養生法】

過労や極限に近い精神疲労は避けましょう。

食べ過ぎや香辛料の使いすぎも要注意です。

 

陰虚の改善は、ただ水を飲むだけではダメで、

充分な睡眠で「陰」を増やし昼の活動で「陽」を高め、

陰陽のバランスを調整することが大切です。

 

また「津液(しんえき)」の消耗を抑えましょう。

運動で汗をかかないということではなく、

悪い消耗(サウナなどの過度の不自然な発汗、過労や睡眠不足、過剰なセックスなど)を避けることです。

 

日常的に「陰」を消耗すると、

最後は生命の根源である『腎陰』から引き出さざるを得なくなり、

最後には大きなツケが回ってくるのです。

 

ストレス、強壮剤、香辛料などでカラダの中に余分な「熱」を作らないことも

「津液」の消費を防ぐコツです。

 

そのためには⑤.気滞の養生術も参考にしましょう。

 

ドリンク剤や朝鮮人参なども余分な「熱」を作り、

睡眠不足になったり、一時的に表面だけ元気になっても、

元気の素は増えません。

 

脂っこい食事やお酒の飲み過ぎにも注意が必要です!

 

●「津液」を増やす睡眠法

「陰」の強い夜間に、しっかりと睡眠すること。

日中はしっかり活動して、夕方から宵にかけては

ゆったりのんびり過ごすように心がけましょう。

 

疲れて寝付けない人は、早めに部屋を暗くしたり、

癒される音楽を聴いたりお香やアロマなどでリラックス。

運動や精神活動、視覚、聴覚が冴えることは避けましょう。


⑤.気滞(きたい)

詰まり体質

 

【特徴】

ストレスでイライラしたり、ふさぎ込みや落ち込みやすい神経質タイプ。「気」が渋滞しているので、体も心も伸びやかに生活するようにしましょう。

 

●便秘気味

●生理周期遅れる傾向

●生理前に胸が張って痛む

●イライラしやすい

●ゲップやオナラ、ため息などがよく出る

 

【他の体質=「証」との関係】

『肝』の勢いが強くなり『脾』をいじめます。

そのため①気虚にもなりがち。

 

また、「熱」がこもると「津液」が消耗し④陰虚、

「湿」と結びつくと⑥血熱/湿熱になります。

『肝』の異常で③血虚や⑦血瘀にもなりやすいです。

 

【かかりやすい病気】

・神経質、躁うつ感、自律神経失調症

・生理痛、各種神経痛

・頭痛、円形脱毛症

・便秘

・感冒

・てんかん

・四肢麻痺

・生理不順

・筋肉痛やこむらかえり

・脳出血やくも膜下出血

・不眠症、不整脈、心悸亢進

・胃・十二指腸潰瘍、神経性胃炎、過敏性腸症候群、食道炎

・拒食症

・気管支喘息、慢性扁桃炎、アトピー

 

【養生法】

『肝』の働きを健やかにして「気」の巡りを回復しましょう。

イライラや怒りの感情は『肝』を傷めます。

 

何事も完璧を求めるのはやめて、気楽な姿勢で、

半分ぐらいを目標に生活することが秘訣です。

またカラダを動かすとともに、『大きな笑い声』がキーワードです。

 

自然の流れに任せて、ゆとりのある心で過ごしましょう。

毎日のスケジュールも時間に追われるのではなく少し余裕を持たせることが大切です。

 

そして、いろいろなことに興味を持ち、

一つのことにこだわり過ぎないようにするなど

「気」を巡らす事を意識しましょう。

 

心配事や嫌なこと、何事も悪いほうに考えずに、

視点を変えて、心にゆとりを持たせましょう。

 

ワクワクすることが病気と健康の分かれ目です!

積極的に「気」の流れをよくするために、色々な方向から刺激を与え、

「気」を引き出すこと。

 

ワクワクする時間や物事を見つけて、楽しい気分に出会えると「気」は体中に巡ります。

柑橘系のアロマやお香を焚いたり、

またリラックスする音楽を聴いたり、

ほっこり温まる薬膳茶を飲んだり、

ぬるめのお湯に肩まで浸かりゆったりと過ごすなどのひとときを持ちましょう。

⑥.湿熱(しつねつ)血熱(けつねつ)

暑がり体質

 

【特徴】

暑がりで汗っかきのがっちり肥満型。

体の中に余分な熱がこもっています。

「水」と「熱」の過剰ですので、充満した不要物を追放しましょう!

 

●暑がりで冷房を好む

●肥満気味

●顔が赤く吹き出物出やすい

●便秘か粘り気がある便で臭いが強い

●生理周期は早い傾向で量は多くおりものも多い

●喉が渇き冷たいものを好み汗をかきやすい

 

【他の体質=「証」との関係】

⑤気滞の人が水を取りすぎ 

⑧湿痰がストレスをためると⑥血熱/湿熱になります。

血流が悪い⑦血瘀や、胃腸に湿(水)が溜まり①気虚に。

 

【かかりやすい病気】

・化膿性の炎症、蓄膿症、慢性鼻炎、花粉症

・結膜炎、緑内障

・慢性中耳炎

・ニキビ、面疔、湿疹、おでき

・アトピー、ケロイド形成

・気管支拡張症

・扁桃炎、リンパ腺炎

・乳腺炎

・慢性胃炎、膵臓炎、肝炎、胆嚢炎、虫垂炎

・大腸炎、過敏性腸症候群

・腎炎、膀胱炎、前立腺炎、膣炎

・糖尿病、高脂血症、高血圧

・関節リウマチ

・胆石、腎結石

・各種ガン

・前立腺肥大

・心筋梗塞、動脈硬化

・脳卒中

・うつ病

 

【養生法】

「湿熱」を取り込む、脂っこい飲食物に注意。

イライラや怒りなども溜め込まないようにしましょう。

 

カラダを動かし汗をかいて体内の余分な「湿熱」を発散し、

体内の「湿」や「熱」の生産を抑えるように意識しましょう。

 

全体的に食べ過ぎの傾向があります。

 

濃い味(甘い、辛い、塩辛い)、こってり、高カロリー、酒類は「熱」を作り、「湿」を溜めます。

ビール、水割り、カクテル、刺身、冷しゃぶ、生肉、チーズ、ミルクやヨーグルトの取り過ぎも要注意です。

 

わさび、辛子、生姜、山椒などは適量なら解消しますが、

摂り過ぎは「熱」を作るので要注意です。

 

「湿」の多い⑧湿痰や、「熱」を生みやすい④気滞の養生術を参考に、生活の改善を図りましょう。

 

運動+食事で、カラダに溜まった毒素のお掃除。

蓄えがありすぎるので、カラダを動かし、

汗を流して、食べる以上に「湿」や「熱」を消費すること。

 

そして、ハトムギ、菊花、トウモロコシの毛などの薬膳茶でカラダの掃除を。

 

高麗人参、ローヤルゼリーなどは「湿熱」を強める作用あるので注意が必要です。


⑦.血瘀(けつお)

詰まり体質

 

【特徴】

●肌がくすみがち

●痛みが発生しやすい

●皮膚や唇の色が暗い

●目の周囲が黒ずむ

●生理周期は遅れがちで血塊が混じり、量は少ない

●刺すような痛み

●アザや内出血ができやすい

●日焼け跡や傷跡が消えにくい

●慢性的頭痛、肩こり

 

【他の体質=「証」との関係】

原因は⑤気滞、②陽虚の冷え。

③血虚の3パターン。また⑥血熱/湿熱や⑧湿痰の「湿」や「痰」などが原因も。

④陰虚で「津液」が少なくなる場合も見られます。

 

【かかりやすい病気】

・生理不順、月経前緊張症、不妊症

・各種の脳血管障害(脳出血、脳梗塞、脳動脈瘤)

・心筋梗塞、狭心症

・神経痛、動脈瘤、静脈瘤

・便秘症、痔核

・子宮筋腫、卵巣嚢腫

・甲状腺腫

・肝血管腫、肝硬変

・各種のガン など

 

【養生法】

全ての養生法を参考に「血」の流れを良くしましょう。

「血」の流れを悪くする三大原因(冷え、イライラ・ストレス、血の不足)を減らし運動を行いましょう。

 

くよくよ、イライラ、余計な心配、考えすぎは『肝』の働きを乱し、「気」の巡りが悪くなります。

⑤気滞の養生術を参考に、「気」の巡りを良くしましょう。

冷たい飲食や、薄着や冷房などで内側や外側からカラダを冷やすことは禁物。

 

②陽虚の養生術も参考にしましょう。

冷たくて、全ての動きを悪くさせる「水分」の取り過ぎは要注意です。

 

滞っている「血」を強制的に巡らすには運動が一番。

ウォーキングなどの有酸素運動はダイエット効果もあり、一石二鳥です。

 

また、明るく、朗らかに、伸びやかな気分で生活をして

「気」の巡りを良くしましょう。

 

入浴などで体を温めるのも「血」を全身に巡らす効果的です。

⑧.湿痰(しつたん)(水滞)

むくみ体質

 

【特徴】

色白で肥満・むくみ・冷え症タイプ。

「水」の過剰により全身に不調をもたらす不要な水を撃退しましょう。

 

●肥満気味でまぶたがむくみやすい

●大便は軟便

●尿はすっきりでない

●おりものが多い

●甘いもの、油っこいものを好み口中が甘く粘る

●口は渇くが飲みたくない

●手足のむくみ、めまい

 

【他の体質=「証」との関係】

⑥血熱/湿熱や①気虚、②陽虚になることも。

『脾』『肺』『腎』は、ともに水分と関係が深いため、

①、②、⑧タイプは互いに関係があります。

 

⑦血瘀や⑤気滞にもなりやすく、⑤気滞の人は、「湿」をつくります。

 

【かかりやすい病気】

・鼻炎、花粉症

・アトピー

・喘息、肺水腫、気管支拡張症、慢性気管支炎

・高血圧、甲状腺機能低下症

・ヘルペス、イボ

・水虫、蕁麻疹

・緑内障やメニエル、統合失調症、うつ病、神経症

・心不全や気管支喘息、心筋梗塞、狭心症

・関節リウマチ、慢性関節炎、痛風

・頸腕症候群、肩関節囲炎

・慢性腎炎や腎不全 など

 

【養生法】

不要な水を増やさないこと。

そして溜まった水を放出す(「湿痰」を追い出すには「熱」を増やす)。

 

カラダを動かしてつくる「熱」と、

気分や陽気な心がつくる「熱」も重要です。

 

また、毎日の食生活でも「湿痰」を取り除く工夫をしましょう。

 

水分の摂り過ぎを控え、特に冷たいものは避けましょう。

冬でもビールという人やアイスクリーム大好きという人は

「湿痰」をたくさん溜め込んでいます。

 

牛乳も要注意。

喉が渇いた時だけ飲み、飲む時は冷たい物は控えましょう。

また果実や生野菜などは水分が多く、カラダを冷やすので要注意です。

 

「湿」を追い出すには、カラダを動かすこと。

普段の生活の中で軽い運動や動きを取り入れ、

カラダの中の「津液」をぐるぐる回し「湿」を取り除きましょう。

 

はじめはカラダが重いので疲れるかもしれませんが、

少しずつカラダが軽くなります。

 

動いて疲れた後には、しっかり睡眠をとって疲れを解消しましょう。

 

熱を増やして、水の動きをよくするために

②陽虚の養生術やまた①気虚の養生術も役立ちます。

 

余分なものはアッという間に溜まりますが、取り除くためには根気と努力が必要です。

カラダを楽しませながら続けられるものを見つけましょう。